旧暦びより。出かけませんか。
小雪(しょうせつ)11月22日ごろ
「小雪」はこゆきではなく、しょうせつと読みます。漢字のとおり「わずかな雪が降るころ」という意味です。一気に冷え込みが厳しくなり、雨も雪となって降ってくることから、この名が付いたといわれます。北国や山岳地帯では雪がちらつくこともあり、初冠雪の便りが次々と届きます。そんな雪が風に運ばれて、平地でも「風花」が舞うかもしれません。まるで花びらのように、ちらちらと舞う雪片のことです。雪の前に、北風が枯葉を舞い散らす落葉の季節。でも、昼間はぽかぽかとしていることも多く、比較的過ごしやすく、ときに春を思わせるような暖かな日になることがあり、これを「小春日和」と呼びます。しかし、日に日に冬めいてきます、どうかご自愛ください。
立冬(りっとう)11月7日ごろ
「冬が立つ」と書くように、冬の兆しが見え始めるころ。いままで暖かく感じられていた太陽の光も日ごとに弱まり、空気がぐっと冷たくなり、冬の気配を感じる時期です。立冬を迎えるころ、まずやってくるのが「木枯らし一号」。晩秋から初冬にかけて吹く北よりの強い風のことで冬の使者といえます。この風が吹くたびに木々は葉を落とし、冬枯れのようすが目立ってきます。立冬から2月初旬の立春の前日までが暦の上では冬になります。時々、時雨が降るのもこのころです。まるで、その雨に染められるように楓や蔦などが色づいていきます。ことしも七五三で賑わう境内でも、みごとな秋化粧が見られそうです。
霜降(そうこう)10月23日ごろ
霜降とは、朝夕にぐっと冷え込み、霜が降りるころの意。といっても、実際に霜が降りるのはまだまだ先のことかもしれません。霜は農作物にとっては大敵です。初めて降りる霜を「初霜」といいますが、地球温暖化の影響を受けて年々遅くなっているみたいです。でも、朝晩の冷え込みが厳しくなり、日脚の短さがはっきりわかるころだけに、静かな秋の深まりを実感できそうです。「秋の夜長」の落ち着いたひととき。少し感傷的になってしまいそうですね。時々、時雨が降るのもこのころです。まるで、その雨に染められるように楓や蔦などが色づいていきます。さあっと降っては晴れる通り雨、晩秋から初冬にかけての空模様。外出には折り畳み傘があると安心みたいです。
寒露(かんろ)10月6日ごろ
朝晩の冷え込みを肌で感じる季節になりました。晩夏から初秋にかけて、野草に宿る冷たい露のことを「寒露」といいます。朝晩の露の冷たさに身が引き締まりますね。日中は秋晴れの日が続きます。この季節は収穫の秋、実りの秋。新米をはじめ、新鮮な京野菜、丹波栗、丹波松茸、さつまいも、柿などなど、美味しいものがいっぱい食欲の秋。もちろん、読書の秋、芸術の秋、スポーツの秋など、何をするにも嬉しい季節です。ところで2000年までは、10月10日が「体育の日」でした。1964年の東京オリンピックの開会式を記念して制定された祝日です。今では10月の第二月曜日。運動会シーズン、無理をせず、まずは散歩から。からだがよろこぶこと何かはじめませんか。
見上げれば、抜けるような秋の空。この時期、雁などの渡り鳥が北からやってきます。その年に初めて到来する雁のことを「初雁(はつかり)」といい、『万葉集』でも歌われています。V字型になりながら、整然と群れをなして飛んでいく雁の姿。こうすることによって浮力が働いて、後続の鳥たちは飛ぶのが楽なのだそうです。先頭の鳥が疲れると交代して、長い旅路をみんなで協力しながら、厳しい自然界のなかを飛んでくるというから凄いですね。
秋分(しゅうぶん)9月23日ごろ
「秋分」は「春分」と同じく、昼と夜の長さがほぼ同じ日。太陽が真東から昇り、真西に沈むというのも春分と同じです。違うのは、この日からだんだん日が短くなっていくことです。年に2回のお彼岸も春と秋。春分と秋分の日を中心にして前後3日ずつ、お彼岸といえばお墓参り。日本には先祖供養をおこなう習慣があり、仏教では西の方角に極楽浄土、仏様のいる理想の世界があるとされています。また、「暑さ寒さも彼岸まで」とよくいわれますが、季節の変化を的確にとらえた言葉で、夏の暑さも冬の寒さも、彼岸を過ぎれば落ち着くといった意味があります。それにしても、異常なほど暑かったことしの夏にさよなら。ようやく秋雨が降り、少しずつ移りゆく季節が感じられそうですね。
白露(はくろ)9月8日ごろ
夏の暑さが収まる「処暑」を経て、季節は秋の気配が漂う「白露」を迎えます。「白露」とは草に降りる露が、寒さで白く見えるようになるということです。ところで、9月9日は「重陽の節句」、別名「菊の節句」で五節句のひとつです。昔から奇数は縁起のいい日とされ、最も大きな「九」が重なる9月9日を重陽の節句と定め、長寿を祈願しました。「重九(ちょうく・ちょうきゅう)」ともいいます。旧暦では菊の咲く季節だったので「菊の節句」と呼ばれていました。菊は邪気を払うといわれ、菊を飾ったり、菊酒を飲んだりして長寿をお祝いしました。新暦だと、菊が咲くには少し早い気がしますが、旧暦を新暦になおせば10月の下旬ごろ。ちょうど菊の花が咲いているころでしょうか。平安時代には、9月8日に菊を綿で覆い、翌日、露を吸ったその綿で身体をぬぐう「着せ綿」という風習があったそうです。そうすると若返るのだとか。考えた先人たちは凄いですね。
処暑(しょしょ)8月23日ごろ
処暑の「処」には止まるという意味があり、暑さがおさまる頃を表わします。とはいえ、残暑はまだまだ厳しいものの、夏の太陽の勢いも徐々に鎮まり、少しずつ和らぎはじめます。そして、朝夕は涼しい風も吹き、虫の音も聞こえてきそうです。しかし、過ごしやすくなるものの、日本列島へは台風到来のシーズンを迎えます。天気予報をこまめにチェックしながら、自然災害には充分気をつけたいものですね。
立秋(りっしゅう)8月8日ごろ
八月の暑いさなかに涼しい風が初めて立つころ。その風を秋の気配のはじまりとみます。風のほかに、朝晩の涼しさ、虫の鳴き声など、少しずつ静かに秋に近づいていきます。とはいえ、連日の猛暑が続きますが、これ以降は夏の名残の残暑。昔は心地よい風が吹き始める時期だったのかもしれませね。パリでのオリンピック、甲子園では夏の高校野球の熱戦が繰り広げられています。そして、お盆。帰省、夏の風物詩、花火大会。この夏は11年ぶりに福知山の花火大会をはじめ、亀岡や八木の花火大会と続きます。夏の夜空を見上げ、さまざまな想いを馳せるのもいいですね。お出かけの際はくれぐれも熱中症にお気をつけください。
大暑(たいしょ)7月23日ごろ
大暑とは、もっとも暑い真夏のこと。梅雨も明け、強烈な陽射しが照りつける日が続きます。蒸し暑さを感じる京都の夏。頼れるのはエアコン、扇風機、冷たい飲みもので水分補給でしょうか。お出かけの際はくれぐれも熱中症にお気をつけください。家では打ち水をしたりして暑さをしのぐのもいいですね。この時期、夏の土用とも重なる時期。となれば回文「スタミナミタス」の土用の鰻が人気ですね。昔から精のつく魚とされてきました。厳しい暑さに負けないために夏のごちそう、いかがですか。
小暑(しょうしょ)7月7日ごろ
小暑とは、だんだんと暑さが増していく時期のことです。そして、この日から暑中に入ります。とはいえ、連日のように降り続く雨、梅雨明けが気になるところです。ことしは梅雨入りが随分遅かったため、ずれるのでしょうか。例年なら7月のまんなかあたり。あたたかい南風が吹きはじめ、本格的な暑さの到来はもうすぐみたい。
7月7日といえば、七夕の節句。七夕の由来は古代中国の伝説にあり、機織りの名手の織姫と牛使いの彦星は結婚したものの、仲睦まじくするばかりで仕事を怠けるようになってしまいました。これに怒った織姫の父・天帝が、天の川を隔てて2人を離ればなれに。仕事に励むことを条件に、引き裂かれた織姫と彦星が年に一度の再会が許された日が七夕です。久しぶりに星空を眺めてみるのもいいですね。旧暦では立秋の頃。月遅れの8月7日に七夕をおこなうところもあります。
夏至(げし)6月21日ごろ
夏至とは、北半球において太陽の位置が最も高くなり、一年で昼がいちばん長く、夜が最も短くなる日。そして本日、例年より遅れて近畿も梅雨入り。これから蒸し暑い日がやって来ますが、日が長いのはやはりうれしく感じます。ま、晴耕雨読で心身のリラックスもいいですね。ところで、この時期、美しい紫の花を咲かせる菖蒲(あやめ)。この花が咲いたら梅雨到来の目安でした。菖蒲は杜若(かきつばた)や花菖蒲(はなしょうぶ)などと似ていますが、編目模様で見分けるそうですよ。
芒種(ぼうしゅ)6月6日ごろ
芒種とは、稲や麦など穂の出る植物の種を蒔くころのこと。稲の穂先にある針のような突起を「芒(のぎ)」といいます。稲は田植えの時期、麦は刈り取りの頃を迎えます。5月末の日曜日、大原神社では御田植祭がおこなわれました、田の神さまに豊作を祈り、早乙女さんや子どもたちと苗を手で植えました。夕方になると蛍が見られるのもこの頃です。そして、ことしも梅雨入り。「梅雨」と書くようになったのは、梅の実が熟する時期の雨だからといわれます。雨に映える紫陽花(あじさい)も、いいですね。
小満(しょうまん)5月20日ごろ
小満とは、あらゆる生命が満ち満ちていく時期のこと。太陽の光を浴び、草木も花々もすく成長していく季節です。小満には、あらゆる生き物が勢いよく成長して生命力に満ちるという意味があります。また秋に蒔いた麦などの作物が実る時期でもあり、農家さんが「小さく満足する」ことから小満と呼ぶようになったという説もあります。ところで5月23日は何の日がご存じですか。5(こい)23(ふみ)の語呂合わせで「ラブレターの日」だそうですよ。たまには、だいじな人に手紙をしたためてみるのもいいですね。初夏のさわやかな風にのって、思いが伝わる青葉の季節です。
立夏(りっか)5月5日ごろ
立夏とは、次第に夏めいていくころのこと。新緑に映える山々、清々しい風、キラキラとまぶしい陽射し。この連休、まさに初夏らしい晴れた日が続きますね。「五月晴れ」という言葉があるように、さわやかな晴天という意味でもよく使われます。そして風薫る五月「薫風」。5月5日は端午の節句。青空に鯉のぼりが気持ちよさそうに泳いでいます。この風習は江戸時代からといわれ、滝をのぼって龍になるという鯉の滝登りの逸話にちなみ、男の子の立身出世を願う武士の家々であげたそうです。
最近では、屋根より高い鯉のぼりを見るのも少なくなり、最近では川の上やビルの谷間で泳ぐ鯉のぼりが何かと話題に。ま、いずれも子どもたちが元気に育ってほしいとの祈願には変わりませんね。
穀雨(こくう)4月20日ごろ
穀雨とは、百穀を潤す春の雨のこと。百穀とは数多くの穀物、米、麦、粟、稗、黍などをいいます。この時期、煙るように降る雨は、さまざまな作物にとって恵みの雨です。穀物を育む雨を瑞雨(ずいう)、草木を潤す雨を甘雨(かんう)、春の長雨を春霖(しゅんりん)、菜の花が咲くころに降る雨を菜種梅雨(なたねつゆ)と、春に降る雨の名前もいろいろあります。静かな雨に濡れて木々もうっとり。新緑に映える山々が初夏の訪れを告げています。といってるうちに、ことしもGW(ゴールデンウィーク)がやってきますね。さて、どちららへ出かけましょうか。
清明(せいめい)4月5日ごろ
「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草と知れるなり」『暦便覧』より。清浄明潔とは、清らかで、明るいことの意味。この略称が「清明」といわれます。芽生えた草木も、それぞれの名前がわかるほどに個性を発揮し、さまざまな花が咲き、木々は生命力にあふれ、すべてがいきいきと輝きだす季節の到来です。桜花爛漫の春。入学式や入社式。またこの時期は、燕が南の国から渡ってくる空、雁が帰っていく空、そして雨上がりに虹がかかる空に目を向けてみましょう。
春分(しゅんぶん)3月20日ごろ
春分の頃になると、だいぶ春らしさを感じられるようになってきます。
とはいえ、この時期は春の長雨、菜種梅雨とも呼ばれるように雨が続きます。そんななか、桜の開花が気になる頃。太陽が真東から昇り、真西に沈む春分は「昼と夜の長さがほぼ同じ」といわれます。大切なご先祖様がより身近に感じられる特別な日でもあります。そして、日の長さは徐々に長くなっていきます。よく2月は光の春、3月は音の春といわれるように、耳を済ませば、雪解けやせせらぎの音、動物たちの元気な鳴き声など春を告げる音が聴こえてきます。ただ、気温はまだまだ安定せず、寒さがぶり返す日もあるのでご注意を。
啓蟄(けいちつ)3月5日ごろ
冬ごもりしていた虫が、目覚めて姿を現わすころ。「啓」は「ひらく」、「蟄」は「虫たちが地中で冬眠する」という意味で、春の陽気に誘われて、土のなかの虫たちが冬眠から覚めることを表わした言葉です。虫に限らず、人間にもあてはまりますね。寒い冬は外出などせず、家でのんびり炬燵に入って過ごしたいと誰もが思うもの。でも、少しずつぽかぽか陽気につつまれると外に出るのが楽しくなります。人間も虫も同じく、春が好きなのです。一雨ごとに春になる、そんな気配を感じる日々が続きます。
雨水(うすい)2月19日ごろ
ちらりちらりと舞っていた雪が雨へと変わり、降り積もった雪や氷もとけて水になる頃。厳しい寒さも冷たい雨から少しずつ暖かな雨になり、雪解けが始まります。春に向けて凍っていた大地が目を覚まし、草木が芽生えてくる季節。そう、春を連れてくるのが雨。でも「春雨じゃ、濡れてまいろう」と新国劇「月形半平太」のように濡れていたら風邪をひいてしまうのでご用心を。三寒四温(さんかんしおん)ということばがあるように、三日ほど寒い日が続いたあとに四日ほど暖かい日が続きます。これを繰り返すという寒暖の周期を表わしています。雨水の次は、冬ごもりしていた生き物が活動し始める「啓蟄(けいちつ)」です。
「鬼は内、福は外」
もうすぐ節分。豆は魔目を打ち潰すという意味から豆を撒いて鬼を払って無病息災を願う追儺式。通常、鬼といえば邪悪な存在だが、鬼の霍乱、鬼の目にも涙、鬼も十八茶も出花など、昔から結構愛嬌がなくもない。
京都府福知山市にある大原神社では全国的にも珍しい「鬼は内、福は外」の掛け声で追儺式がおこなわれる。鬼(厄)を同神社に迎え、福を同神社から氏子の家庭に送るという意味がある。このように昔から福をもたらす鬼もいたのだ。そういえば、魔除けといわれる鬼瓦もある。同市の大江山には酒呑童子伝説も有名。ということで、2月3日におこなわれる大原神社の節分祭に出かけよう。ことしの春はここからみたいだ。
立春(りっしゅん)2月4日ごろ
寒い冬のトンネルを抜けると、そこには暖かい春が待っている。そんな春のはじまりが立春です。といっても、まだまだ身にしみる寒さの立春の頃。まさに暦の上ではということに。旧暦では、一年のはじまりとされます。立春の前日が節分の日。もともと節分とは季節の分かれ目をいい、立春、立夏、立秋、立冬の前日のことをさします。節分は文字どおり季節の分かれ目を意味し、この日に邪気(厄)払いをし、一年の幸を祈願します。昔から豆まきの風習や、恵方巻と呼ばれる巻き寿司がおなじみですね。今年の方角は東北東です。
大寒(だいかん)1月20日ごろ
一年で最も寒い時期を表わす大寒。この厳しい冬を乗りきるために、寒中水泳や寒稽古といった行事がおこなわれます。日常生活では経験することのない厳しい環境に身をおくことによって、精神的にも強靭な力を養うとされています。またこの時期には伝統的な発酵食品である味噌や醤油、日本酒の仕込みがおこなわれます。この時期の気候が雑菌の繁殖を抑え、これらの食品を最適な状態で発酵させるのに適しているためです。大寒の末候になると「鶏始めて乳す」といって、鶏が卵を産みはじめるころといわれます。まさに新たな希望を予感させる言葉です。次は立春。春を迎えるまで、もう少しの辛抱です。
小寒(しょうかん)1月6日ごろ
新しい年が始まりました。本年もどうかよろしくお願いします。
「小寒」は寒さが小さいという意味ではなく、寒さが厳しくなる時期をさします。小寒の日は「寒の入り」と呼ばれ、この日から節分までの約30日間を「寒の内」といいます。寒気が強まり、最も寒くなる「大寒」に向かいます。外出のときはマフラーや手袋で寒さ対策をして、風邪などをひかないようにしてくださいね。
そして1月7日は「七草粥」。この日に七草粥を食べると、邪気を祓い、無病息災が得られるといわれています。「春の七草」は、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ。七草粥は、新しい生命力を身につけようと願ったものだそうです。
冬至(とうじ)12月22日ごろ
一年で最も日が短くなる「冬至」。太陽のチカラがいちばん弱まった日であり、この日を境に再び陽にかえる日という意味の一陽来復。つまり太陽が生まれ変わる日ととらえ、運が向いてくるといいます。冬至といえば、かぼちゃとゆず湯。柚子を入れたお風呂に入るのは風邪をひかないため。冬至の日には「ん」のつく食べ物を食べると運が呼び込めるといわれます。かぼちゃは別名「南瓜(なんきん)」。他にも、にんじん、大根、銀杏など。栄養をつけて寒い冬を乗りきるための知恵ですね。
大雪(たいせつ)12月7日ごろ
暦の上では「大雪」。大雪とは雪が盛んに降りだす頃という意味で、すでに山間部では雪が降り積もり、平地でも雪が降る時期。日に日に寒さが増していきます。さまざまな動物が冬眠をする頃ともいわれます。防寒対策は大丈夫ですか。慌ただしさを増す師走、街では華やかなクリスマスソングが聴こえてきます。新しい年の準備もそろそろでしょうか。
大雪の次は、一年で最も昼の時間が短い「冬至」となります。
小雪(しょうせつ)11月22日ごろ
「立冬」で迎えた冬の始まりも進み「小雪」となりました。小雪という名前は、わずかに雪が降ることからつけられたとされています。朝夕は防寒対策も必要になりますが、日中は暖かいことが多く、比較的過ごしやすい時季です。大雪(たいせつ)の前の時期、日中はまさに小春日和(こはるびより)と呼ぶにふさわしい穏やかで暖かくなることも多いようです。
この時期、冬の夜空を飾る星のなかでも目を惹くのが牡牛座。そのなかのプレアデス星団は和名「昴(すばる)」として古来日本でも親しまれてきました。冬の空に堂々と輝く素晴らしき星の姿。散らばる多くの星を「統べる」ように並び光ることから「すばる」と呼ばれるようになったとのこと。また光る星が六つに連なる様子から「六連星(むつらぼし)」と付けられたそうです。
立冬(りっとう)11月8日ごろ
立冬は冬が立ち上がると書くとおり、冬の始まりを言いますが、本来は冬ではなく秋の到来を感じる頃。ようやく樹々の葉が色づく紅葉が見られるシーズンはじまりです。ことしの夏は暑く、先日まで暑かったのに急に寒くなりましたね。あっという間に秋が過ぎていく気がします。あなたにとって冬が来る前に、やっておくことは何でしょうか。尚、立冬から2月はじめの立春までが暦の上では冬になります。
霜降(そうこう)10月24日ごろ
霜降は霜が降り始めるころ。朝晩の冷え込みによって霜が降りることを意味しています。気温が下がり氷点下になると、空気中の水蒸気が地表に凝結して霜になりますが、霜降はこうした自然現象を表わしています。
昔は、朝に外を見たとき、庭や道沿いが霜で真っ白になっていることから、雨や雪のように空から降ってくると思われていました。そのため、霜は降るというそうです。日中は晴れて秋らしい陽気となる日が続きます。ただ、秋から冬へ移り変わっていく時期だけに、コートやダウンなど冬物を出して、厳しい寒さにも対応できるようにしておきたいですね。
寒露(かんろ)10月8日ごろ
一年のうちでいちばん最初に「寒」の文字が入った二十四節気の17番目「寒露」。野草に宿る冷たい露のこと。朝晩の冷え込みは厳しくなってきますので体調の管理にくれぐれもご注意を。空気が澄んだ秋晴れの過ごしやすい日が続きます。まさにスポーツの秋、行楽の秋です。そして、秋が深まり、次第に寒さが増し、「露」は「霜」へと変わっていきます。
秋分(しゅうぶん) 9月23日ごろ
暦では秋のまん中。春分と同じく太陽が真東から出て真西に沈む、昼と夜の長さが同じになる日のことをいいます。「暑さ寒さもお彼岸まで」という言葉は秋にも当てはまりますが、歳時記ではただ単に「彼岸」といえば春をさすので「秋彼岸」とか「のち彼岸」というそうです。田んぼの畦道に咲く曼殊沙華が鮮やかです。そろそろ、秋の運動会がおこなわれ、元気な子どもたちの歓声が聞こえてきそうですね。そして、これから次第に秋が深まっていきます。
白露(はくろ)9月8日ごろ
白露とは、草に降りる露が寒さで白く見えるようになるという意味。楽しかった夏休み終わり、始まった新学期。ところとどころに感じていた秋の気配も本格的に。朝の澄んだ空気と、ほんのちょっと肌寒い冷風が季節の移ろいを教えてくれています。月が美しく眺められる時季でもあります。
私たち人間にとっても、昼も夜も、心地よく過ごせる季節の到来ですね。
処暑(しょしょ) 8月23日ごろ
もともと「処」は「来て止まる」という意味をもつ漢字だそうです。ここでは、そろそろ暑さがおさまるという意味で、このころから朝晩の涼しさが実感できるようになってくるといわれています。暑さも少しずつ下り坂になりはじめるころ。ときおり吹く涼しい風、はやく実感したいですね。
田んぼの稲穂は、こうべをたらすほどたわわに実り、収穫のときをいまかと待ちわびているように見えます。残暑の暑気をすりぬけて、目にする風景に、ちりばめられた初秋のかけら。ほら、秋の足音が…。
立秋(りっしゅう) 8月8日ごろ
暦の上では秋。秋になったのではなく、秋が生まれた日。とはいえ、秋の気配さえ感じられないというのが実感ではないでしょうか。現代人にとって立春以上に違和感を覚えるのが立秋かもしれません。立春が寒さの頂点なら、立秋は暑さのピーク。この日から少しずつ涼しくなっていきます。
ただ昔は陽が落ちれば、心地よい風が吹き始める時期だったのかもしれません。立秋の末候となれば、やがて蝉時雨も弱まり、太陽の光も弱まり、サトウハチロー作詞の『小さい秋みつけた』になることでしょう。ちなみに「秋」の語源は、実りの秋だけに食べ物が飽きるほどあるから、草木が赤くなるから、天候が明らかだからなど説はさまざま。食欲の秋の到来といっても、食べ過ぎにご注意を。立秋を過ぎれば暑中見舞いではなく、残暑見舞いと書くのが本来のならわしです。まだ当分暑いが続きます。くれぐれも暑さに負けないで、お過ごしください。
大暑(たいしょ) 7月23日ごろ
照りつける太陽、賑やかな蝉の声と、暑さが最も厳しくなるのが「大暑」。
子どもたちにとっては、水遊び、虫取り、お昼寝と愉しみ盛りだくさんの夏休み。日ごとに増すうだるような暑さにエアコンの温度は下がり気味になりますが、冷房病や夏バテの原因にもなりますのでご注意を。とにかく熱中症に気をつけてください。この時期「スタミナミタス」(回文)、土用の丑の日。鰻を食べる習わしがあります。これは江戸中期を代表する平賀源内の発案で鰻屋の看板を書いたことに始まります。鰻に限らず「う」のつく食べもの(梅干し・きゅうり・冬瓜などのうり類・うどんなど)を丑の日に食べると夏に負けないといわれます。暑さで食欲がおちるといわないで食べものを美味しくいただいて、元気盛々、夏をのりきりましょう。
小暑(しょうしょ) 7月7日ごろ
一年で最も暑いといわれる「大暑」の前にやってくるのが「小暑」です。
「小さく暑い」と書くことから、だんだんと暑さが増して本格的に暑くなる少し前のことをさします。時には梅雨明けと思わせるように陽射しが降りそそぎ、湿っぽさのなかにも夏の熱気が感じられるころです。気のはやい蝉の声が聞こえてきそうです。外に出れば、夏の香りが満ちています。
7月7日といえば七夕。ゆっくりと星空を眺めてみるのもいいですね。
夏至(げし) 6月22日ごろ
「夏至」は一年でいちばん昼の時間が長く、夜が最も短い日。太陽が最も高く昇る日で、影も一年で最も短くなります。ところが今は旧暦の五月、梅雨の真っ最中。太陽の姿がなかなか見ることができません。昔は梅雨のことを「五月雨」といい、「さ」は「五月」、「みだれ」は雨をあらわす「水垂(みだれ)」の意。この時期、雨を鬱陶しいと思わず、一雨ごとに色を変える紫陽花を楽しんで過ごしませんか。
芒種(ぼうしゅ) 6月5日ごろ
イネ科植物の穂先の細い毛のような部分を「芒(のぎ)」といい、そんな芒のある穀物の種を蒔く時季。とはいえ、実際には、麦は刈り取りの時期、稲は田植えの時期。田植えを始める目安にしたようです。今では機械化が進みましたが、かつての田植えは農家の一大行事。田の神様をおまつりする神事の意味合いが強かったそうです。日本人はお米はお百姓さんの汗の結晶。一粒でも大切にとしつけられてきたものです。「稲」の語源は「命の根」だという説もあるほどですしね。
小満(しょうまん) 5月21日ごろ
麦の穂が実り、少し満ちてきたという意味の「小満」。それが転じてすべてのものが次第に成長し、天地に満ちはじめる時節になったという意味に。
「新緑」から「万緑」へと移り変わる季節。「緑」はもともと色の名前でなく、みずみずしい様子を表わした言葉。昔から、つややかな黒い髪のことを「みどりの黒髪」、赤ちゃんのことを「みどり児(ご)」といいます。
このごろ吹いてくる少し強い南風を「青嵐(あおあらし)」と呼び、風までが爽やかな色彩を伴い、目で、肌で命があふれんばかりに躍動する時期。
立夏(りっか) 5月5日ごろ
風薫る季節。新緑の映える、清々しい風、まぶしい陽射しは、五月晴れということばがぴったり。「立夏」とは、次第に夏めいてくるころのことです。
5月5日は端午の節句。鯉のぼりが気持ちよく泳いでいます。滝をのぼって龍になるという鯉の滝のぼりの逸話にちなみ、男の子の立身出世を願うことから揚げたといわれます。子ども健康を願う鯉のぼりが青空にはためきます。
穀雨(こくう) 4月20日ごろ
「穀雨」は百穀を潤す春雨の意。ぽかぽか陽気の春も、なかなかの気まぐれ屋さん。晴れたかなと思えば雨を降らしたり、と思えばまた晴れたり。でもこの雨は農作物の成長には欠かせないものなのです。この時季、三日以上続く長雨を「春霖(しゅんりん)」、降ったりやんだりする雨を「春時雨(はるしぐれ)」、菜の花の時季なので「菜種梅雨(なたねづゆ」)といいます。
清明(せいめい) 4月5日ごろ
清浄明潔。すべてのものが清らかで穢れがなく、生き生きして明らかなこと。
これを略したものが「清明」だそうです。たくさんの花が咲き、若葉が萌え、鳥たちが歌い出し、すべての生命が春の息吹を謳歌して輝く季節の到来です。